私は、昭和61年
に神戸大学を卒業し、神経内科医を目指して臨床研修に励みました。専門医の資格も取りました。当時、神経変性疾患などの神経難病といわれる病気は、原因の
糸口もわからず、病因に根ざした治療法はほとんどありませんでした。難病に苦しむ患者さんの前で、医師はあまりにも無力であることを実感しました。その
後、私は、神経薬理・神経科学の基礎的研究をしようと思い、神戸大学医学部薬理学教室の田中千賀子先生の門を叩きました。私が大学院に在籍中は、分子生物
学がますます隆盛となり、遺伝病の原因遺伝子の同定や、cDNAクローニングが真っ盛りでした。
次々、見つかる新たな発見に心を躍らせながら、「研究を続けていくと、きっと神経難病の原因解明に結びつくことがわかるかもしれない。」「神経難病を何と
かできる方策が自分でも編み出せるかもしれない。」と、研究をすることの目的が見えてきたような気がしました。もう少し、もう少しと研究を続けているうち
に、研究が職業となり、現在に至っています。しかし、私が研究をしている原動力は、臨床医の時に様々な患者さんを診た経験があったからだと思っています。
21世紀は脳の世紀と言われています。ここ最近、脳に関して、脳の病気に関して、多くのことが解ってきました。研修医の時代、なすすべもなく診ていた患者さんを何とかできる画期的な方策が生まれつつある予感を感じます。私たちと一緒に、脳の不思議を堪能して、そして、さらに神経の病に悩む患者さんの福音となるような方策を考えようではありませんか。多くのチャレンジャーたちの参加をお待ちしています。
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